プレイ前のお風呂も料金に含まれているので楽しもうブログ:20210427
初老の医師はミーに告げた。
「あー、肺に穴があいてますね」
いやいや、そんなあっけらかんと言われても…と、
通常ならツッコミを入れたい場面だ。
今ままでに味わったことの無い激痛に耐えながらも、
自分の肺に穴なんてあいていないと信じたい気持ちとは裏腹に、
心も体質も震えていた。
「故郷のご両親にも連絡を」
すべてが初めての体験だった。
故郷を離れ、大学に入学してふた月。
早くも緊急事態だった。
数時間後、お父さんとお母さんがかけつけてくれた。
ミーは泣いた…
初めての手術が決まり、数本の管が体質に刺さり、
不安が脳に刺さった状態だったから…
「病気なんだから、しょうがないだろう。
頑張れ。大丈夫、手術すればすぐに治る」と
お父さんは何度も頷いた。
まるで自分にも大丈夫だと暗示をかけているかのように…
手術が終わり、
お父さんもお母さんも仕事があるので故郷へ戻っていった。
散々、これでもかというほど励ましの言葉を浴びせられた。
「もう大丈夫だから。早く帰りなよ」
そんな強気な言葉をミーは最後に投げた。
本当はまだまだ不安だらけで、
誰でもいいから早く助けてくれ…と願っていた。
何とか退院となり、一人でアパートまで帰った。
久し振りのワンルームの部屋はひっそりとしていた。
「あれ」
一歩、中へ踏みこんで、ミーは思わず声を漏らした。
入院前とはテレビの大きさが違っていた。
残されていた一枚のメモには、
「退院おめでとう。目が悪くならないようにテレビを買っておきました。
古いテレビは持って帰りますね。お母さんより」
心臓に穴があきそうなくらい嬉しくて、感謝をした。
ミーは医者に救われたのでなく、親に救われたのだと思った。